収録曲
■トラックリスト(全13トラック)
タンゴ組曲/アストル・ピアソラ
Tango Suite / Astor Piazzolla
1. I. Deciso
2. II. Andante
3. III. Allegro

アトム・ハーツ・クラブ・デュオ/吉松隆
Atom Hearts Club Duo / Takashi Yoshimatsu
4. I. Allegro
5. II. Andante
6. III. Scherzo
7. IV. Finale

8. チキ・チキ/サンドゥ・チョルバ
Tchiki Tchiki / Sandu Ciorba ※
9. アランフェス/ホアキン・ロドリーゴ
Aranjuez / Joaquín Rodrigo ※※

10. 地中海の舞踏/パコ・デ・ルシア&アル・ディ・メオラ
Mediterranean Sundance / Paco de Lucía & Al Di Meola ※

11. 風景画/井上仁一郎
Paisaje / Jin-ichiro Inoue

12. 禁じられた遊び/アントニオ・ルビーラ
Romance de Amor / Antonio Rubira ※

13. アルハンブラ宮殿の想い出/フランシスコ・タレガ
Recuerdos de la Alhambra / Francisco Tárrega ※※※



2015.09.02OnSale(通常盤)

井上仁一郎「セグンド」

鈴木大介との「アランフェス」、原善伸との「アルハンブラ宮殿の想い出」をはじめ、橋爪晋平、山﨑拓郎
との全編ギターデュオアルバム。
井上仁一郎が名手たちを相手取って作り上げたこのCD には、魅力的な世界への示唆が一杯に詰まっている。《音楽評論家 濱田滋郎》
井上仁一郎の2作目は、鈴木大介、原善伸、橋爪晋平、山﨑拓郎、4人の名クラシックギタリストとの全編ギターデュオ。
クラシックの枠だけにはとどまらず、タンゴ、サンバ、ルンバなどのラテン要素から、ロック、ブルース、フラメンコ、ロマ、ミニマルのエッセンスまで取り入れ、クラシックギターデュオの可能性に挑戦。
ピアソラ「タンゴ組曲」や吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ・デュオ」といった傑作の他、ロドリーゴ「アランフェス」やルビーラ「禁じられた遊び」といった名曲には大胆なアレンジを施し、タレガ「アルハンブラ宮殿の想い出」はサグレラスの手によるデュオアレンジで収録、また、パコ・デ・ルシアとアル・ディ・メオラの難曲「地中海の舞踏」にまでも手を出した超意欲作。

★ギター・デュオの豊かな世界
 当CDの主役、井上仁一郎は、まだ”若手”と呼ばれてよい世代に属するが、着実な技巧と共に広くまた確かな音楽観を身につけ、これから疑いなくギター界に「中堅」の座を占めていくであろう逸材の一人である。その彼がここに、ひとつの新たな地平線を拓いた。すなわち、独奏ではなく2重奏によるギター音楽の探究である。
 ここで、ぜひ改めて考えてみたいのが、「ギター・デュオ」という演奏形態が持つ意味合いの深さである。ギターは、たとえピアノには及ばぬとしても、「それ自体、単独で自立できる楽器」であるという、立派な特質を持っている。メロディーおよび適宜なハーモニー、そしてリズム─音楽の3要素のすべてを、ギターは十全に(と言って悪ければ、ほぼ十全に)表現できる。そのために却って、奏者は従来「独りの世界」にこもりがちで、他者との合奏を好まなかったのだ、とも言える。
 が、いったん「ギター2重奏」という世界を知ってみれば、それがいかに豊かな広がりを持つものであるかに気づかされよう。1挺だけのギターには、やはり音楽表現上の制限がつきまとう。旋律と和声、あるいは旋律同士の組合せに、機能上、どうしても不可能なものが多いのだ。2つのギターは、そうした宿命的な不可能を難なく取り除くことができる。並行して同時に流れる2つの旋律を1人の奏者が独奏する場合と、2人の奏者が別々のギターで弾き分ける場合─どちらが生き生きと、真に音楽的に聴こえるかは言うまでもあるまい。和音やリズムに関することもひっくるめて、2つのギターは〈1+1=2〉ではなく、〈1+1=3,4,5...〉と、可能性を大きく広げる。
 腕の立つギタリストたちが数を増してきたこんにち、「ギター・デュオ」の世界には、充実した展開の可能性が豊かに望まれる。井上仁一郎が名手たちを相手取って作り上げたこのCDには、魅力的な世界への示唆が一杯に詰まっている。  《音楽評論家 濱田滋郎》

■通常盤/XQDN-1069/¥2,778+税/制作・発売:ティートックレコーズ/販売:BounDEE by SSNW

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「現代ギター9月号」表紙に抜粋!



●井上仁一郎/Jin-ichiro Inoue
福島市出身。幼少からピアノやヴァイオリンを学び、16歳からクラシックギターを始める。ギターを秋山智樹、原善伸、両氏に師事。日本大学芸術学部を卒業後、ヨーロッパ各地で多数のマスタークラスを受講し研鑽を積む。第33回新人ギタリストオーディション、第15回名古屋ギターコンクール、第39回クラシカルギターコンクールで第1位他、スペインのA.セゴビア国際ギターコンクールでファイナリストに選ばれるなど、国内外多数のコンクールで上位入賞。出版物への執筆や録音多数。日本各地、韓国やスペインなど海外でも場所やジャンルにとらわれない演奏活動を展開。日本ギタリスト協会、神奈川ギター協会各委員。また、中学・高校の教員免許を持つ数少ないクラシックギタリストとして、北鎌倉女子学園音楽科、神奈川県立弥栄高等学校芸術科で後進の指導も行っている。
2013年、ティートックレコーズより1stCD『Homenajes』を発表。